重い想われ 降り振られ
橘には少し思い当たる節があった。

新歓では真理子を連れ帰ったし、見舞いにも行っていた。

何よりも真理子の話が出るたびに、小林はどこかぴりぴりしていたように思う。

『小林の事、俺に一言も言わなかったな。
もしかして、あいつも小林に気があるんじゃ・・・。』

午後の仕事に取り掛かりながらも、橘の頭の中は真理子でいっぱいだった。

イライラしながらも、橘は倉庫に資料を戻しに行った帰り、
給湯室の隣にある第三会議室の前を通りかかった。

すると、今は使われていないハズの会議室の扉が少し開いており、
中から人の声が聞こえた。

『んっ・・・松田?』

会議室の扉を開くと、中では菜奈と松田がなにやら揉めていた。

「・・・だから私は無理なんですって!」

松田に手を取られ、離れようと菜奈がもがいている。

「どうして?だって、あの時好きだって言ったじゃん。」

「ちがう!あれは、そうゆう意味じゃないっ!」
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