重い想われ 降り振られ
洗濯や掃除をしにくる女性や、食事を差し入れにくる女性。

彼の部屋には、いろんな女性が出入りしていた。

そのどれもが特定の女性、彼女と言うわけではなく
自身が頼み込んでお願いをしているわけでもなく
単純に橘に想いを寄せ、側に居られるよう努力する女性達だった。

中には気まぐれに一夜を過ごした事を理由に、交際を迫る者もいたが
そうゆう女性には、気持ちが無い事を告げ二度と会わなかった。

こんな事を繰り返していくにつれ、橘に見切りをつけ去って行く者もいた。

だが、去って行った女性の穴を埋めるかのように、すぐに違う女性が表れた。

女性に不自由しない橘には、社内の女性達は

“同じ職場の人間”以外の何物でもない。

“質”で比べてみても、橘の傍にいる女性達の方が圧倒的に良かった。

「橘はこんな安月給の会社より、ホストのが稼げるんじゃね?」

松田は、前々から思っていた疑問を橘にぶつけてみた。

「女に媚びるのは、嫌だ。」

きっぱり言い切った橘に、松田は納得した。
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