重い想われ 降り振られ
遠藤から新しい缶を受け取りつつ「おぅ。」と礼を言う。

「それで橘は、香田さんとホテルに泊まったの?」

突然遠藤からつっこまれ、橘は口にしたビールを思わず吹き出しそうになった。

橘は少し考えた後、ゆっくり話はじめる。

「“賭け”ってのは、気にしてるつもりはまったく無い。
駅で香田を見つけてしまって、小林が世話してる奴だったし
無視するのもどうかと思って声掛けたものの、帰る事も出来なかったし
泊まれる場所を選べる状況じゃなかったからな。」

遠藤は「ふ~ん。」と表情を変えないまま、料理を口にする。

「もしかして、香田さんとやっちゃった?」

橘は無言のまま、缶に口をつけ傾ける。

橘の様子見ていた遠藤は、図星だと受け取った。

「それはいろいろと、困った状況だね。」

遠藤の言う“困った状況”とは、小林の事を指す。

「それで、これからどうするつもりなの?」

食事を終えた橘は、缶を持ってそのままソファーに移った。
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