重い想われ 降り振られ
遠藤が橘の家を訪れている頃、菜奈は松田を呼び出していた。

居酒屋で待ち合わせ、菜奈が店に訪れると松田は先に到着していた。

「菜奈ちゃんから呼び出されるなんて思ってなかったよ。」

喜ぶ松田を無視して、菜奈は注文を済ませた。

「最初に言っておきますが、松田さん呼び出したのは好きとかじゃ無いですから。
今日会議室で言ってた事が聞きたいだけですから。」

ちょっとムっとしながら、運ばれてきたグラスに口を付けた。

「会議室?どの事だろ。」

「“賭け”とか、真理ちゃ・・・香田さんと橘さんを見かけたとか。」

松田は「あぁ~。」と納得して、カラアゲを頬張る。

簡単に“賭け”は自分が冗談半分で言った事を説明する。

「まぁ、橘はまったくその気無かったし、小林も嫌がってたしな。
その事はその場で終わってたと思ったんだけどさ、橘と香田見かけた時、
本当びっくりしたわ。絶対無い組み合わせじゃん?」

菜奈も首を縦に振り、同意した。

「だから思い当たる所があるとしたら“賭け”の事だって思うじゃん?」
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