重い想われ 降り振られ
松田の言い分に納得する菜奈。

「そしたらさぁ今日の昼休みの時、小林が香田に告ったって言うし。」

「え!?小林さん、真理ちゃんに告白したの?」

菜奈は松田のネクタイを引っ張りながら「で、どうなったのよ!」と
すごい剣幕で松田に喰いついた。

「嫌、苦しぃし。」

菜奈からヨレヨレになったネクタイを引き剥がし、話を続ける。

「返事はまだ無いらしいけど“賭け”は絶対にするなって言われたよ。」

小林が真理子に好意を持っているのは、菜奈には解っていた。

それは普段の小林をよく見ていれば、誰にでも気付けるだろう。

『問題は、真理ちゃんが返事をしてないって事よね。
それって、やっぱり橘さんに気がある可能性も出てくるって事だ。』

「何?菜奈ちゃんの好きな人って、橘か小林なわけ?」

「アンタには関係ないでしょ。」

酔いが少し回ってきたらしく、菜奈の口調が変わる。

松田は「ふ~ん。」とグラスに入ったビールを飲み干した。
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