重い想われ 降り振られ
デート当日。

今頃になって、真理子は青ざめた。

『こうゆう時に着て行く服なんて、持ってなかった。』

部屋のクローゼットの前で、床にへたりこんだ。

それもそうだろう。

真理子が異性とどこかに出かける日が来るなんて、予想してるはずもない。

自分の体形を見れば、かわいい服やおしゃれな服を着る気にもなれなかった。

無理して着てみたところで、痛々しく見られるのは解りきっている。

真理子がそうしたのでは無く、世間がそうさせるのだ。

できるだけ地味に、人の目に触れても害さないような服装ばかり集めていた。

部屋に散らばっている自分の服を見て、真理子は途方にくれた。

『もぅどーにでもなれ!』

自棄になり、真理子は自分が持っている唯一のスカートに手を掛けた。

服を着替え、髪を束ねた。

化粧なんてしたこともない。

なので普段のまんま、いつもの準備しかできない。

支度が終わる頃、玄関チャイムが鳴った。
< 69 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop