重い想われ 降り振られ
近くで扉のドアノブを回す音が、菜奈の耳には聞こえていた。

先ほど菜奈が閉めてきた倉庫の扉が開く。

「橘さん、ちょっと屈んでください。髪に何か付いてますよ。」

橘は菜奈に言われるがまま、屈んだ。

菜奈は橘の首に飛びつき、そのまま橘にキスをした。

真理子がちょうど棚の影から顔を出した瞬間だった。

二人のキス現場を目撃してしまい、真理子は声を出しそうになるのを手で押さえ、
静かに後ずさる。

静かに去ろうとしたのだが、後ろを見ずに後ずさりしたせいで
棚にぶつかり派手な音を出してしまう。

顔を離し橘が慌てて振り返ると、真理子と目が合ってしまう。

「ごっ・・・ごめんなさいっ。」

真理子は一言だけ謝り、走り去って行く。

追いかけようとする橘は、菜奈に腕を掴まれ止められる。

「橘さん!」

菜奈は橘の顔を真剣に見上げた。
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