重い想われ 降り振られ
「私、ずっと橘さんの事が好きでした。」

菜奈は橘の腕を掴んだまま、告白する。

橘は冷静なまま、菜奈を見下ろしはっきりと言う。

「俺は、誰とも付き合わない。」

「真理ちゃんともですか?」

ゆっくりと菜奈の手を離し、倉庫から出ようと背中を向けた。

「真理ちゃんは、小林さんの事が好きですよ。」

橘の背中に向かって、菜奈は強い口調で言った。

何も答えず、橘は倉庫を出た。

廊下に出た所で辺りを見て回るが、当然ながら真理子の姿は見つけられなかった。

走り去った真理子は、会議室に戻っていた。

資料を各席に配りながらテーブルに顔を向けると、ポタリと滴が落ちた。

『あれっ?』

泣いている自分に驚き、手で顔を撫でる。

書類を置き、ハンカチを取り出して慌てて涙をぬぐった。

『どうして・・・。これが一番いいと、自分で納得していたハズなのに。』
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