重い想われ 降り振られ
『こんなに汗だくになるほど心配して、探しに来てくれたんだ・・・。』

真理子はゆっくり小林の腕から離れた。

「探しに来てくれて、ありがとうございます。」

小林の手を取り、真理子はぎゅっと握った。

「とにかく上に戻ろうか。」

小林に手を引かれ、真理子は立ち上がった。

階段には非常灯が有るおかげで足元が確認でき、スムーズに上がれた。

「私も一旦二課に戻って、荷物取ってきますね。」

小林に声をかけると「危ないから一緒に行くよ。」と小林も付き添ってくれた。

「たぶん雷による停電だろうけど、すぐに回復しないって事は
今夜はもう仕事できないね。」

「私の方も丁度終わったところだったんですよ。そこでいきなり停電になって
動かずに回復を待ったんだけど・・・。本当にびっくりしました。」

灯りの少ない廊下を、小林は真理子に声を掛けながら先導した。

社内に残っている者もほとんどなく、二課に戻る間も誰とも遭遇しなかった。

この時間になると正面出入り口は鍵がかかってるため、裏口に回る。
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