重い想われ 降り振られ
「むしろ・・・もっと頼っていいんだよ。」

小林は真剣な顔をして、真理子を見つめた。

ピカッっと雷が外で光り、一瞬小林の顔を照らした。

「今夜。家に泊まっていく?」

真理子の心臓が激しく鼓動する。

小林の顔が、真理子の顔に近づいてくる。

とっさに後ずさり、真理子は小林から一歩離れた。

顔をそむけ、言葉に詰まる。

「このまま、帰したくないな・・・。」

「ごめん・・・な・・・さい。」

真理子は小さく答えた。

ドキドキと音が聞こえそうなくらい高鳴る胸を、ぎゅっと押さえた。

「いいんだよ。待つって言ったでしょ。」

小林は俯く真理子の頭をそっと撫でた。

「タクシー来たみたいだよ。」

カチカチと光る、タクシーのハザードランプが見えた。
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