アイス・ミント・ブルーな恋[短編集]
「紺野くん、変わったね」
雪とは元中が一緒で、一時期雪に片思いをしてる時があった。
高校で同じクラスになった時は、正直困った。
惚れた弱みか、俺は中学の頃から雪には逆らえない。
だから、他の誰に何を言われても大丈夫だったけど、雪に変わったね、と言われた瞬間、胸が裂けそうになった。
「じゃあ、三坂が戻してよ」
―――――咄嗟に出た無責任な言葉。
雪が、今まで遊んだどの女の子とも違うってことはわかってた。
俺なんかと付き合っちゃいけないってことも。
「三坂が、三坂の知ってる俺に戻してよ」
…だけど、弱い自分が、雪に縋れと叫んでる。
本能的に、ここで雪に助けてもらわなきゃ、このまま沈んでいくような気がしてたんだ。
絶対泣かせてしまうゲームに、
絶対泣かせちゃいけない人を、
無責任に巻き込んだ俺は、
最低の人間。
「…いいよ」
しばらくしてから、雪が答えた。
「私も、あの頃の紺野くんに会いたいから」
「っ」
―――取り返しのつかない所まで、来てしまった。
そうして、俺達の関係は、好きもよろしくも無しに始まった。