アイス・ミント・ブルーな恋[短編集]
―――雪と付き合ってから、しないと決めたはずのキスをした。
よりにもよって、元カノと。
突き飛ばしてでもいいから、避ければ良かった。
「ひろ…」
「……れよ…」
「……ひろ?」
「帰れよ」
「え」
「帰れ。俺が待ってるのはお前じゃない」
―――最低だ。
最低だ、俺。
全部自分で招いたことなのに。
八つ当たりばっかりだ、俺。
人を愛することって一体なんだ。
愛するより愛されるほうが幸せに決まってる。
恋愛はいつだって、受け身の方が楽だって決まってる。
だけど、それが本物の愛じゃなきゃ虚しいだけ。
「雪…」
その放課後、一時間待っても、
雪は下駄箱に現れなかった。