アイス・ミント・ブルーな恋[短編集]
そういえばあなたを好きになってしまったのも、その屈託のない笑顔が原因だった。
あなたが、私といると楽しいって言うから。
わたし、バカだから、舞い上がっちゃって。
嬉しくて、意識して、…いつの間にかあなたが欲しくなってしまった。
そう言ったら、あなたは笑ったんだ。
その欲だけちょうだい。他はいらない、って。
好きとか、ちょっとめんどくさいんだよねって。
寂しそうに笑ったあなたの手を、握ったのはわたしだ。
「水畑とはみたい番組も被るしなあー」
「アメトークは神。ピカルは最近キテる」
「先週のビバルイは濃かった」
「チャンネル争い起きなくて平和だよね」
「な。一緒に暮らしても困らないな」
「…心にもないことを」
「ははっ、でも水畑1番面白いから」
「っ」
「ギャグセン高いしなあー」
「本当…?」
「本当だよ。一緒いると楽しい」
「それ…本当…?」
「だから本当だっ…、て」
―――――わたしは、ただのおもちゃなんだろう。
あなたにとって、ただの。
もしかしたら、わたし以外にもおもちゃがいるかもしれない。
あなたの欲を満たす役目さえ、独占できないのかもしれない。
それでもいいと、一体どうして思ってしまうんだろう。
「……水畑…?」
「…っ、冗談でも、1番なんて、言ってもらえないと、思ってた…っ」
「え」
「どうしようっ…、わかんない…、涙とまんない、ごめ……」