アイス・ミント・ブルーな恋[短編集]
かたかたと、指が震える。
乱れたシーツ。
脱ぎかけたブラウス。
あなたの吸い殻と、煙が染みた白い枕。
あなたの欲を満たすベッドの上に、透明な斑点もよう。
あなたは、わたしの涙を拭いたりしない。
「………水畑、ごめん」
めんどくさいって、思ってるんだろう。
「ごめんな」
わたしは心を捨てられなかったから。
「水畑、顔上げて」
あなたの心まで欲しいって思っているから。
「お願い、水畑、顔上げて」
やだ。
見ないで。
やだ。もうやだ。なにもかもやだ。
終わりにしたい。
こんな関係、もうやだよ。
「もうやだ。好きになるんじゃなかったっ…」
「……」
「上条なんて、好きにならなきゃよかった」
「……水畑、こっち向いて」
「やっ」
「い、いやって…」
熱くなった涙が、頬を伝う。
「俺が嫌いか」
「顔は好き」
「……性格は駄目か」
「…手も好き」
「……性格は…駄目か」
「……あと、その声も、実は淋しがり屋な所も」
「…」
「……好きよ、大好きっ…」
「っ」
――――いきなり、食い尽くすようなキスをされた。
何度も、何度も。
わたしは、そのつど抵抗したけど、無駄だった。
なんで?
どうしてこんなこと、今するの?
「上条、やめて、やだ」
「やだ」