アイス・ミント・ブルーな恋[短編集]
そう言って、彼が私の顎を持ち、ひとつキスを落とした。
あ、アメリカン……これは、アメリカン故のスキンシップなのか……? よくわからないよ私には…いやでも普通口にはしないよね?
足りない頭で必死に、あの幼かった頃のあゆむ君と、今の完全に獣と化したあゆむ君を合致させる。
どうも上手くいかない。今目の前にいるのは、完全に1人の男性だから。
「……なんか、あんまり驚いてないね」
「え」
「……ムカつく」
そう言うや否や、彼は再び私にキスをしてきた。どんなにスキンシップの激しい国でも、こんなキスはしない。絶対。いくらバカな私でもそれくらいわかった。
分かってしまったら、このキスが完全に異性同士での、欲に塗れたキスだということもまた、分かってしまった。
途端に全身が熱くなり、何度も角度を変えられて重ねられるキスが苦しくなって、彼の胸を叩いた。
「……やっと意識してくれるようになった?」
「……一応聞くけど、さっきのは外国流の挨拶じゃないよね………」
「違うよ、性欲に塗れたキスだよ」
「あああああ聞きたくないあゆむ君の口からそんな言葉聞きたくない聞きたくない」
「ははは」
なんでそんなに爽やかな笑顔を浮かべているんだ…。
え、待って、なんで私にあんなキスしたの……え、待って、その前に私達今キスしたんだよね?
いや、キスしたことは分かってるんだけど、それは分かってるんだけど、その相手はあゆむ君……あの天使みたいに可愛かったあゆむ君……。駄目だ合致しないショートしそう。
私が頭を抱えていると、彼が私の前髪をかきあげて額にキスをしてきた。