アイス・ミント・ブルーな恋[短編集]



「…え」

本当に、違う…?

聞きたいけど、声にならなかった。

ガラスが喉に刺さったみたい。

ううん、喉だけじゃない、心臓にも、腕にも、ああ、体中が、痛い。動けない。

「あ、あは、まじですかっ! 知らなかったー、どんな子ですか、可愛いですか?」

「……あんたよりは」

「ひどーっ、でも私諦めませんからね、先輩のこと」

「…」

「先輩、そこなんか言って下さいよ」

「…蓮見」

「やだ」

「蓮見」


やだ、やだ、やだ、やだやだやだ、聞きたくない。

諦めたくない。

だって好きになっちゃったんだもん。


「もうさ」

こんな、こんな一方通行な片思い、諦めたらいつでも綺麗に終われる片思い、

「もうさ、諦めて」

あなたにそれを言われたら、私はもうなにもできないよ。


やだ、やだやだやだやだやだやだ、悔しい、悔しい、絶対、私の方が先輩のこと好きなのに、

諦めたくないよ。

今日も先輩に流されて、飽きれられて、それだけで幸せだったのに、それだけで良かったのに、それさえも許してくれないの?


「…蓮見」

「…はい」

「あの」

だけど、

「はい」

「っ」

「はい、わかりました、先輩」

「…」

「わかりました」

だけど、私、知ってたから。


先輩は、本当の本当に伝えたいことしか言わないから。


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