アイス・ミント・ブルーな恋[短編集]
毒舌王子のお願い
彼氏と音信不通になりました。
無口な彼からメールが来たことは一回も無かった。
だから意地はって私からメールを送るのをやめたら、本当に音信不通になった。
私たちの関係ももれなく終わりそうな予感です。
「バーカ」
「ぐっ」
彼氏の友人である佐々木君は、自然消滅を目の前に、今にも泣きそうになってる私に言いました。
「バーカ」
「も、もう一回言っちゃうんだ…」
佐々木君は本当に面倒くさそうな表情でコーヒーを飲みました。
相談料として奢ったコーヒーを、彼はとてもまずそうに飲みやがりました。
相談する相手をどうやら思い切り間違えたらしい。
チェンジお願いします。もう心が折れそうです。
「はっきり言って、中原がバカ」
「随分前からはっきり言ってましたけど…」
「だってアイツがああいう性格だって知ってて告白したんだろ?」
「ぐ」
「女に対してもクールな所が好きだーって勝手に惚れといて、いざ付き合ったら何見返り求めてんの?」
「……………」
「アイツかわいそー」
毒しかない佐々木君の言葉に、精神はズタボロだったが、彼の意見には何も反論できなかった。
クールで無口なあの人。
確かに惚れたのは私の勝手だし、クールな所が好きなのも本当だ。
絶対女子には媚びないし。
でもそれは、彼女になったら特別扱いしてくれるのかなっていう妄想があったのも本当で。
あまりのギャップの無さに、寂しくなってしまったのだ。
あれ?
本当だ。
私めちゃくちゃうざい女じゃん。