アイス・ミント・ブルーな恋[短編集]
ぽかんとした表情のまま、佐々木君の整った顔をただただ見つめていると、
「告白させる作戦大成功?」
と、彼は爽やかに笑った。
それでもまだぽかんとしていると、もう一度、ちゅ、とキスをされた。
「はいいいいいい?」
「うわなんだその顔めっちゃブス」
「すみません本当にむかつくんですけどどうしよう殴りそう」
「ははは」
「笑うなくそ」
怒りと照れくささで真っ赤になった顔を、彼が指で突っついた。から、頭を思い切りたたいた。
それでも彼は、佐々木君は、おかしくてたまらないという風に笑ってた。
「どうだった? 俺に好きな人できたって聞いたとき」
「知らんわ」
わたしは、むっとふてくされた表情でそう答えた。
そしたら、佐々木君はそんなわたしの顔を片手でぐっと掴んだ。
それから、右の口角をぐっとあげて、再び意地悪く笑って、こう言ったんだ。
「嫉妬で狂いそうだった?」
わたしはその瞬間、この人には、この毒舌王子には、一生敵いそうにもないと、確信したのであった。