アイス・ミント・ブルーな恋[短編集]
トクベツな関係3
その日は朝から麦君が珍しくカリカリしていて、その原因はお兄さんが麦君にしつこく将来の話をしてくるからなのだとか。
実は麦君の家は町でもかなり上位のお金持ちで(家はとても古いけれど凄く大きい)、麦君は生粋のお坊ちゃんだったりする。
麦君のお父さんはお医者様で、お母さんは有名な絵本作家。ずっとこの町で開業医として働いている麦君のお父さんと、東京で絵本作家として働いていた麦君のお母さんが結婚した時は随分と騒がれたそうだ。
麦君の容姿は、そんな美しいお母さんに似て、幼い頃から垢抜けていて都会的だった。
そんな麦君に対し、現在高校三年生で医大に進学することが決まっている兄(私たちと同じ高校だ)ーー禄さんは、麦君に対し医者になることのプレッシャーをかけているらしい。
「最悪だ……マジであいつ消えてくれないかな……」
学校について、上履きに履き替えながら物騒な発言をして気だるそうに歩く麦君。
私はそんな彼の後ろをついて、いつもの教室に向かう。
季節は移ろいで肌寒い受験シーズンになり、麦君のお兄さんは推薦で医大に合格し一人暮らしが決定した。