アイス・ミント・ブルーな恋[短編集]
理人君とどうなりたい?
そんなの決まってる。
正式に恋人になってほしい。
なんの罪悪感も無しに、あなたとキスがしたい。
でも、そんなこと怖くて言えない。
あなたがもし私に対してなんの恋愛感情もなかったら……そう思うと怖くて言えない。
そんな私の欲望なんかで、あなたを困らせたくない。この関係を壊したくない。
「星乃、俺は……」
「い、言わないで、くださいっ……」
「え……?」
「分かってるなら、言わないでください……。私も、分かってますからっ……」
顔を背けながら震えた声で彼の話を遮ると、彼はより真剣な声で聞き返してきた。
「分かってるって、何を」
「だから、全部、分かってますからっ」
「だから、何を分かってるのか分からないから教えてくれって言ってるんだ」
多少苛立った口調で、理人君が私の手を掴んだ。
私はそんな彼を押しのけてソファーに座り直し、視線を床に落とした。
「言いたくないですっ、こんな虚しいことっ」
「星乃、俺はちゃんと話がしたいんだ。明後日にはもう関西に帰る。東京に戻ってくるのはいつになるか分からない。こんな半端な思いをさせてそのまま関西に帰るほど、俺は薄情じゃない。だから話を」
「理人君は私のことを好きにならないくせに、なんでそんなこと言うんですか!」
突然私が声を荒げたので、彼は驚き言葉を失った様子で、私を見つめている。
怒りで出たのか、悲しくて出たのか、よく分からない涙が頬を伝う。