アイス・ミント・ブルーな恋[短編集]
青い缶を傾ける。
苦味が舌に広がり、私は眉を顰めた。
それでも我慢して飲んでいたら、横ろからすっと手が伸びてきて、私の手から缶ビールを奪った。
喉仏を上下に動かしながら、みるみるうちに飲み込んでいくその様子を、私は呆然と見つめた。
「このビール、やっぱり美味いな」
「そうなんだ、ビール好きは好きなんだね」
「俺が全部飲んでやるよ」
2本目のビールに、彼は手を伸ばす。
私はそれを、あ、という声で制した。
だけど彼は、綺麗な指で気にせず蓋を開けた。
プシュッという効果音が部屋に響き、改めて今、彼と家に2人きりであることを自覚した。
「俺が飲むから」
「もう飲めないって、言ってたじゃん……」
「俺が飲まないとさ、結局お前の体の中に残るじゃん」
私の体の中……そうか、そうなんだよね。結局体の芯まであの人の存在が染み付いてしまって、何をどう食い尽くしても、飲み干しても、私の心の中に蓄積されていってしまう。
目には見えないのに、あなたは隣にいないのに、心の中から出て行ってくれないの。
なんだかテーブルに置かれた料理が全て虚しく見えてきて、私は瞳を暗くした。
「……俺は笹倉とヤってもいいけど、ヤったら俺多分情がわいてしまう」
「はは、そんなこと男性側が言うの珍しいな」
「情がわきまくりだからね、元々、お前に」
「え、初耳もいいとこだよ」
「今もっとテキトーな男にしとけば良かったって思ったろ?」
苦味が舌に広がり、私は眉を顰めた。
それでも我慢して飲んでいたら、横ろからすっと手が伸びてきて、私の手から缶ビールを奪った。
喉仏を上下に動かしながら、みるみるうちに飲み込んでいくその様子を、私は呆然と見つめた。
「このビール、やっぱり美味いな」
「そうなんだ、ビール好きは好きなんだね」
「俺が全部飲んでやるよ」
2本目のビールに、彼は手を伸ばす。
私はそれを、あ、という声で制した。
だけど彼は、綺麗な指で気にせず蓋を開けた。
プシュッという効果音が部屋に響き、改めて今、彼と家に2人きりであることを自覚した。
「俺が飲むから」
「もう飲めないって、言ってたじゃん……」
「俺が飲まないとさ、結局お前の体の中に残るじゃん」
私の体の中……そうか、そうなんだよね。結局体の芯まであの人の存在が染み付いてしまって、何をどう食い尽くしても、飲み干しても、私の心の中に蓄積されていってしまう。
目には見えないのに、あなたは隣にいないのに、心の中から出て行ってくれないの。
なんだかテーブルに置かれた料理が全て虚しく見えてきて、私は瞳を暗くした。
「……俺は笹倉とヤってもいいけど、ヤったら俺多分情がわいてしまう」
「はは、そんなこと男性側が言うの珍しいな」
「情がわきまくりだからね、元々、お前に」
「え、初耳もいいとこだよ」
「今もっとテキトーな男にしとけば良かったって思ったろ?」