アイス・ミント・ブルーな恋[短編集]
「じゃあ、折戸さんに好きな人ができるまで付き合おう」
「な、なんなんですかそれっ」
引きとめられてどきっとしたのに、千歳さんの言葉は私の怒りに再び火をつけた。
「私の千歳さんを好きな思いをなんだと思ってるんですか!?」
「いいか!? 大学なんてな、ましてや女子大生なんて遊び放題なんだぞ! 変な憧れだけで変な彼氏作ったら君はいつか後悔する!」
「しませんよ、あなたが好きです! ていうか大学をなんだと思ってるんですか!?」
「俺は君のその、優しい彼を切り捨てて最終回で意地悪なヒーローの元へ走り出しちゃいそうな若さが怖い、怖すぎる」
「意味わからんですっ、でもとりあえず付き合ってくれるってことでいいんですか?!」
「あーいいよ、付き合うよ、ただ後悔するのは折戸さんだからな、バーカバーカ」
「はああー? そっちこそ二年も三年も続いちゃったりしたらバーカバーカって言ってやりますからね」
「ああいいよ、絶対無い、君は夏くらいにサラッと塩顔イケメンな三年生と付き合うことになるね、見えるよ」
「残念でした、私濃い顔が好きです~」
「俺どっちかと言うと顔薄いんだけど!?」
……そんなこんなで、私は千歳さんと付き合うことになった。
まさかあの時は、四年も続くなんて思いもしなかった。すぐにふられるんだろうなと思っていた。
それでもよかった。千歳さんと一緒にいられる時間がもらえるという事実が、泣きたくなるほど嬉しかったんだ。