アイス・ミント・ブルーな恋[短編集]
「……千歳さんがいなかったら、あ、明日から誰に嬉しかったことや、悲しかったことを報告すればいいのか……分からない……っ」
すれ違いざまに、口からこぼれてしまった言葉。
千歳さんは私のその言葉に、とても困った顔をした。告白した、あの時みたいな、なんともいえない困った顔をした。
「……なんだよ、別れたのにそんなこと言うな」
「……だっ、だって、美味しいランチ食べたら誰に写メ送ればいいの、バイトの先輩にいびられたら、誰に愚痴を言えばいいの……っ」
「知るかよっ、愛犬にでも報告してろ」
「なんなのやっぱり冷たい~っ」
ぼとぼと涙をこぼすと、千歳さんはますます困り顔になった。
いつもなら私の頭を乱暴に撫でてくれるけど、千歳さんはもう私に触れない。そのことが悲しくて、自分が悪いのに涙が止まらなくなった。
「千歳さんの同僚の結婚式に着ていくスーツ、誰が一緒に選ぶんですか……っ」
「……適当に一人で選ぶよ」
「溜まった録画リスト、誰が消すんですか、千歳さんいつも容量いっぱいにしちゃうのに」
「……適当に一人で消すよ」
「……千歳さんがいない毎日って、想像つかなくて、こ、怖いんですけど……っ」
震えた声でそう言うと、千歳さんは困った顔から少し怒った顔になった。それから、私に近づいて思いきりデコピンをかましてきた。
「じゃああっさり別れるとか言うな、バカかお前は」
「だって千歳さんがあっさり言うから! あまり粘ったらウザがられると思って……」
「あっさり言った言葉だと思ってんのか!」
千歳さんが大声を上げたので、私は思わず肩をビクつかせてしまった。
千歳さんは、怒りながら、少し泣きそうな顔をしていた。
「四年だぞ、ふざけんな……どれだけ重い覚悟で言ったと思ってんだ……」
「ち、千歳さん……」
「高校生の時から、大学に入学して、就職先が決まるまでの濃い四年間を自分に捧げてくれた彼女と別れるのに、何がどうしてあっさり別れるなんて言えると思ったんだよ……」
千歳さんの声が、肩が、指先が震えている。こんなに苦しそうな彼の表情を見たのは初めてで、私は動揺し切ってしまった。
すれ違いざまに、口からこぼれてしまった言葉。
千歳さんは私のその言葉に、とても困った顔をした。告白した、あの時みたいな、なんともいえない困った顔をした。
「……なんだよ、別れたのにそんなこと言うな」
「……だっ、だって、美味しいランチ食べたら誰に写メ送ればいいの、バイトの先輩にいびられたら、誰に愚痴を言えばいいの……っ」
「知るかよっ、愛犬にでも報告してろ」
「なんなのやっぱり冷たい~っ」
ぼとぼと涙をこぼすと、千歳さんはますます困り顔になった。
いつもなら私の頭を乱暴に撫でてくれるけど、千歳さんはもう私に触れない。そのことが悲しくて、自分が悪いのに涙が止まらなくなった。
「千歳さんの同僚の結婚式に着ていくスーツ、誰が一緒に選ぶんですか……っ」
「……適当に一人で選ぶよ」
「溜まった録画リスト、誰が消すんですか、千歳さんいつも容量いっぱいにしちゃうのに」
「……適当に一人で消すよ」
「……千歳さんがいない毎日って、想像つかなくて、こ、怖いんですけど……っ」
震えた声でそう言うと、千歳さんは困った顔から少し怒った顔になった。それから、私に近づいて思いきりデコピンをかましてきた。
「じゃああっさり別れるとか言うな、バカかお前は」
「だって千歳さんがあっさり言うから! あまり粘ったらウザがられると思って……」
「あっさり言った言葉だと思ってんのか!」
千歳さんが大声を上げたので、私は思わず肩をビクつかせてしまった。
千歳さんは、怒りながら、少し泣きそうな顔をしていた。
「四年だぞ、ふざけんな……どれだけ重い覚悟で言ったと思ってんだ……」
「ち、千歳さん……」
「高校生の時から、大学に入学して、就職先が決まるまでの濃い四年間を自分に捧げてくれた彼女と別れるのに、何がどうしてあっさり別れるなんて言えると思ったんだよ……」
千歳さんの声が、肩が、指先が震えている。こんなに苦しそうな彼の表情を見たのは初めてで、私は動揺し切ってしまった。