フキゲン・ハートビート
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☔︎
金曜は授業が午前の2コマだけなので、午後からはだいたいバイトを入れている。
学校と自宅から少し離れたカフェは、知り合いに会わないように、と思って選択した。
バイト先に友達が来るのなんかは気恥ずかしいし、なんとなく気まずいので、絶対に避けたい派だ。
カフェを選んだのに特に理由はない。
仕事内容のわりに時給がなかなか良いというのは、けっこう大きかったかもしれない。
そんなバイト先、『カフェ・サイドスタンド』は、もともとバイク好きのオーナーさんがお仲間さんとの交流を深めるために開いたお店らしい。それが、20年前の話。
ここのこだわりのコーヒーと、一日限定30個の手作りプリンは、誇張じゃなく天下一品だと思っているのだけど、ちょっと身内っぽい感じの落ち着いた雰囲気が売りなので、雑誌やテレビの取材も片っぱしから断っているのだとか。
だから、知る人ぞ知る名店だ。
大学に入ってすぐのころに働き始めたから、なんだかんだでもう1年チョットくらいお世話になっている。
「アオちゃん、ホット3番さんね~」
オーナーさんののんびりした声に呼ばれた。
「はぁい」
カウンターの上で湯気を吐きだしている白いマグカップを、銀色のまるいトレイに載せる。
カップのなかで黒いまるがゆらゆら揺れている。
いいにおいだ。
ここで働きだしてから、コーヒーをブラックでおいしく飲めるようになった。
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金曜は授業が午前の2コマだけなので、午後からはだいたいバイトを入れている。
学校と自宅から少し離れたカフェは、知り合いに会わないように、と思って選択した。
バイト先に友達が来るのなんかは気恥ずかしいし、なんとなく気まずいので、絶対に避けたい派だ。
カフェを選んだのに特に理由はない。
仕事内容のわりに時給がなかなか良いというのは、けっこう大きかったかもしれない。
そんなバイト先、『カフェ・サイドスタンド』は、もともとバイク好きのオーナーさんがお仲間さんとの交流を深めるために開いたお店らしい。それが、20年前の話。
ここのこだわりのコーヒーと、一日限定30個の手作りプリンは、誇張じゃなく天下一品だと思っているのだけど、ちょっと身内っぽい感じの落ち着いた雰囲気が売りなので、雑誌やテレビの取材も片っぱしから断っているのだとか。
だから、知る人ぞ知る名店だ。
大学に入ってすぐのころに働き始めたから、なんだかんだでもう1年チョットくらいお世話になっている。
「アオちゃん、ホット3番さんね~」
オーナーさんののんびりした声に呼ばれた。
「はぁい」
カウンターの上で湯気を吐きだしている白いマグカップを、銀色のまるいトレイに載せる。
カップのなかで黒いまるがゆらゆら揺れている。
いいにおいだ。
ここで働きだしてから、コーヒーをブラックでおいしく飲めるようになった。