フキゲン・ハートビート


あーあ、やばいよ、ヤッチマッタナー!

とか、ちょっともうこれはそういうレベルじゃない。


「ご……ごめんなさい。本当に、ごめんなさい……」


制止をふり切って、ガブガブお酒飲んで、醜態さらして……、おまけに、なんて。


本当に、サイアク。

きっと人間としていちばんみっともない姿を見せてしまった。


半田くんだけじゃなく、あの場にいた全員に迷惑をかけたはずだ。

そして、たぶんそのなかで、最大級に、この男に迷惑をかけたんだ。


ああ、情けなくて泣きそう。
泣かないけど。


「ゴメンは聞き飽きた。もう、きのう死ぬほど謝られた」


背を向けたまま、半田くんが淡々と言う。

そうしてテーブルにつくと、香ばしいにおいをただよわせているホットコーヒーに口をつけたのだった。


「あの……取り返しつかないことしちゃったけど、クリーニング代とか、メーワク料? とか……せめて、払わせてほしい。本当にごめ……」

「いいって。うぜーな」


でた。半田寛人お得意の『ウゼェ』。


もうなにも言わないほうがいいのかもしれない。
いまはあたしの声を聞くだけで腹が立つのかもしれない。

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