フキゲン・ハートビート
「……ヘンなの」
「なにが?」
「だって、なんか、中学生みたいなやり取りしてる」
「おれは中学のころ誰ともこんなやり取りしてねーけど」
そりゃあキミには友達がいなかったから。
とは、口が裂けても言わないが。
気付けば、テーブルの上にならぶお皿からはまるっと料理が消えていた。
全部食べてくれたんだな。
よかった。うれしい。
そう、自分でも意外なほど、うれしい。
あのころは知らなかった、半田寛人という男を、少しずつ知れていることも。