フキゲン・ハートビート
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  ☔︎


「いらっしゃいま……、あ!」


カラン、と、いかにもというレトロな音で鳴いたベルのほうへ目をむけると、ここのところ頻繁に見かけている気がする和み顔が、すでにこちらを向いていた。


「こんにちは」

「俊明さん! コンニチワです!」


きょうもすらりとカッコイイあまいたごやきのベーシスト・俊明さんは、相変わらず完璧な微笑みをその端正なお顔にたたえている。


本当に窓際の席がよく似合う。

やわらかい、黄色っぽい光が頬を照らしているのがとてもまぶしくて、思わず目を細めた。

アキ先輩の閃光のようなそれとはまた違う、この人が持つのは、陽だまりみたいなやわい明かり。


すっと鼻筋の通った形が、実に大人っぽい横顔だと思った。


たしか、3つ年上だっけ?

チョットしか変わらないのに、なんだか圧倒的に大人に感じてしまうのは、どうしてだろう。


「いやあ、シフトの時間わからずに来たけど、いてくれてよかった。まだ出勤してないならまだしも、もう帰ったあとたらどうしようってちょっと不安だったんだ」


そう、おとといの夜、俊明さんから直々にメッセージをいただいてしまった。
『ヒロから服を預かってるから、次にバイトのある日教えて』と。

それがきょうだったというわけだ。

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