龍蝶~闇に隠された愛~【上・完】
一翔side

俺がむしゃくしゃして喧嘩をしていた夜の日。

疲れて公園の真ん中で寝ているとある女が声をかけてきた。

「大丈夫ですか…?」

(弱そうな女…。遊んでやってもいいか。)

俺の顔をみるとその女は急にオロオロし始めた。

うざいから俺は「大丈夫」って言おうとしたけど、

空腹には勝てなかった。

大丈夫よりも先に「腹が減った…」が出てしまった。

(こいつは…逃げるかな…?)

だけど、俺の予想とは別にいきなり女は言った。

「うちでよければ…」

なんて。

自慢じゃないが今まで俺をみて逃げなかった女はいなかった。

もの好きは別だが…。

(こいつ…逃げないのか?面白そう…)

俺はそう思いその女についていった。

女の家に行くとお嬢様だってひと目で分かった。

単に家のデカさだけど…。

「俺は蓮城 一翔。かは漢数字の一、とは翔けるで一翔。
よろしくな。で、お前は?」

俺はそういい女が名乗り出すのを待っていた。

「え?」

しまいには変な声を出す。

「名前…」

俺は少し低めに言う。

「あ、二富 梨華です。梨と書いてりと読んで、華と書いてかと読みます。
こちらこそ…よろしくお願いします。」

「少し待っててください。」
梨華はそういい俺にお茶を出した。

(こいつ…俺が17って知ってるのか?)

「敬語使わないくていい。」

「え?でも…」

俺がそう言うと梨華は少し困ったように言う。

「そんな年変わらねぇし…」

「あ、わかりました。」

早速敬語ね。

さっきいいって言ったんだけど…。

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