愛しい君に何度でも
さっきお兄ちゃんから聞いた先輩の好物。
その時だけ、お兄ちゃんが輝いて見えた。
…錯覚だよね、絶対。
先輩は観念したのかお弁当を受け取って、カバンの中にしまった。
電車が来て、いつものように同じ車両に乗った。
ガタンゴトンと、電車が揺られる中今日はスッカラカンで。
座れるような空間だった。
私はちゃっかり先輩の隣をキープ。
誰にも渡さないんだから。
嬉しくて顔がにやけるのを我慢してたら、隣からなんとも言えない視線が刺さる。
____先輩?
先輩の方へ顔を向けると、声が聞こえた。
「…今日何時起きたの?」
先輩とこんな世間話ができるなんて。
思いもしなかった。
しかも先輩から!
「今日はいつもと同じで5時くらいです」
ニコニコしながら先輩に笑いかける。
「そう」
先輩は素っ気なくそう返事すると今度は違う話題になった。