(完)ずっと君といれるなら 〜再会〜
「さっさと用意しろ葉月‼︎」

「はいっ‼︎」

笹原先生の急かしにドキドキしながらコーンを置くスピードを上げた。

ちなみに、笹原先生は認めた生徒のことは名前で呼んでくれる。

だから、一年生の頃は早く名前で呼んで欲しくてみんな必死に頑張ってた。

昔のことを思い出して薄く口角を上げた。

「よしっ。じゃあ、今日は編入してきた森田にやってもらう。
お前らよく見とけよ。」

「うすっ‼︎」

「よし、森田行け。」

「はい。」

ええ、海斗がするの⁉︎

そんなに上手くなってるわけ⁉︎

色々と驚きながら海斗がボールをセットする姿を見つめた。

一番初めのコーンの2mほど手前にボールを置いた海斗は小さく息をついてボールを蹴り出した。

あの頃よりずっと成長した瞬発力であっという間に海斗はコーンの前にいた。

まるでボールが吸い付いてくるように海斗はボールを離し、戻しを繰り返す。

本当に成長した見事な足さばき。

今までいろんな人のドリブルを見てきたけどこんなに綺麗なドリブル見たことない。

すごいの一言だった。

勿論、部員達も私以上にそれを感じている。

すべてのコーンを交わしてもとの位置へと戻ってきてボールを片手に持った海斗へ盛大な拍手が送られた。

「おっ前めちゃくちゃ成長してんじゃん。やべーよ。上手すぎ。」

蓮が海斗にヘッドロックをかましながら満面の笑顔で褒めるとみんなそれに賛同し、口々に褒め言葉を送る。

それは偽りじゃなくて真実。

自分以上の強さを持つ選手に出会うと嬉しがるような奴らばかりだから。

そんな彼らだから私は今だに続けられるんだ。

「海斗、すごいじゃん！感動したしー。」

みんなに笑顔を振りまくる海斗に向かって笑って言った。

「だろ？」

私に気づいた海斗は自慢げにそう言って、ピースした。

私も、満面の笑みでピースを返した。

そばで咲絢さんが微笑みながら言ってきた。

「仲良しね。」

「喧嘩の方が多いいですけどね。」

苦笑いしながらそう呟いた。

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