エレベーター
わたしは呆然とカバンを拾い上げ、1番近くの『階』に倒れるようになだれ込む。



その『階』を見回すと、最初に真由ちゃんとわたしがエレベーターを降りた『階』だった。


その時わたしは、ずっと同じ階段をぐるぐると周り続けていたことに気付いて、愕然とした。


『もう…もう、嫌。』


ハラハラと涙を零しながらカバンの中の携帯を取り出し、わなわなと震える手で自分の家に電話をかけた。


トゥルル…


トゥルル…



まだ呼出し音が鳴ってる途中だったが、わたしは電話に向かって叫んだ。



『助けて!…お母さん!お願い!出て!!』
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