エレベーター
プツ、と繋がる音が聞こえ、あまりの嬉しさに涙がどっと溢れ出す。


『お…お母さ…』


『…美香ちゃん?』





…違う…


…お母さんの声じゃない…



『美香ちゃん。階段には、「出口」は無いのよ。』


…中西さんの、声…



『「出口」、知りたい?』


さっき携帯から聞こえた声が、今度は背後から聞こえてきて、わたしは力無く振り向いた。




携帯電話がわたしの手から、カシャンと地面に落ちた。






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