エレベーター


『教えて…!お願い、出口を教えて下さい…!』


わたしは恐怖のあまり床に突っ伏し、泣きながら叫んだ。



クス…


中西さんが微かに笑ったような気がした時、ドウ、と階段から何か落ちて来た。


『きゃっ!!』


びっくりして音の方を見たら、さっきのおじいさんが倒れていた。


左足が、崩れたように無くなっている。

腕も足も一つになったその体は、まだ階段を降りているかのように、うねうねと動きを止めない。




『アラ、とうとう足も崩れちゃったのね。』


平然と言う中西さんの声を、わたしはどこか遠くで聞いていた。
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