エレベーター
『…あのおじいさん、わたしの三ヵ月前にこの団地で自殺したのよ。』
感情が感じられない無機質な言葉で、中西さんはおじいさんの話をする。
一そのおじいさんは、一緒に住む家族に疎まれ生活していた。
『臭い』
『汚い』
『寝たきりになっても、面倒見ないよ』
そんな家族を避けるように、家から出て階段にポツンと座って時間を潰す毎日を送っていた。
寝たきりにならないよう、足腰を鍛えるためによく階段の上り下りをしていたそうだ。
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