エレベーター
『ある日、いつものように階段で過ごしていた時、無償にたまらなくなって階段から飛び降りた、って訳。』




『あ…足、オレの…足』


おじいさんは悲しそうに、繰り返し繰り返しそう言った。


まだうねうねと動くその体が、また、少しずつ崩れていく。



『…次は、ワタシが崩れる番…』


中西さんは表情ひとつ変えずにぽつりと言った。





わたしは、


『出口……だって、出口を知ってるんでしょう?だったら…』


すがる思いで、中西さんに問い掛けた。



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