エレベーター
囁き
信じられないものを見ているように、おじいさんの眼球をわたしは凝視していた。
おじいさん眼球は、くるりと反転し一わたしと目があった。
わたしの膝くらいの高さのその眼球は、ズル、とはいつくばるようにしてわたしに近付く。
戦慄が足元から沸き上がり、わたしは思わず叫んだ。
『早く、早く…出口を教えて!!!』
中西さんはユラリとわたしを振り返り、
『大丈夫よ。わたし達は生きてる人間を傷つけることは出来ないから一。』
ズル、と、おじいさんがまた少し近付く。
『…お願い、早く…。』