エレベーター
わたしは振り返った。
十五メートルほど先に、さっき乗って来たエレベーターが見えた。
走り出そうとしたその時、誰かに足首を掴まれた。
視線を、落とす一。
足元には、眼球が二つ一。
すでに崩れて無くなったはずの見えない手が、わたしの足首を、確かに、掴んでいた一。
足元の眼球はそのままわたしを見上げると、まるで微笑むようにその形を変えた一。
わたしは大きく悲鳴をあげると、そのまま意識を失った一。
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