エレベーター
『ほら、二つ隣の真由ちゃん…、やっぱりあの子、新しいお父さんに虐待されているみたいよ。』


わたしは一瞬お茶を飲む手を止めたが、ふーん、と返事をして残りのお茶を飲み干した。


なによアンタ冷たいわね、と母は膨れる。


『佐々木さんの家が真由ちゃんの家の隣じゃない?それで聞いたんだけど、今朝、怒鳴り声と真由ちゃんの泣き声と大きな音が聞こえたらしいのよ。』


母はゴクリとお茶を一口飲み、話を続けた。


『アンタが帰ってくるちょっと前も、真由ちゃんの家から悲鳴みたいな声が聞こえて…、絶対、なんかあったのよ。』





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