すきの、チカラ
・・・



その日の、部活終わり。

いつもどおり、体育館の影で、葉山くんを待っていたとき。



「つりあわねーっ!!」



すれちがった女子たちに、またイヤミを、言われてしまった。


きゃはは、と笑い声をあげて、去っていく背中。


いつもなら気にしないって、気持ちを入れ替えることができるのに、今日は無理だった。


いたたまれなくて、今この場所で、消えてしまいたくなった。



『つりあわねーっ!!』



・・・だって、そのとおりだから。


言われなくても、自分でよく、わかっていることだから。


今までさんざん言われてきた文句が、頭の中で、つぎつぎと、再現される。



『告ったもん勝ちだよね~っ』

『あの子でOKなら、わたしだっていけたし』



・・・そうだよ。早い者勝ち、だっただけなんだよ。


わたしがたまたま、最初だったから。


最初に、泣きそうになりながら、好きだって言ったから。


葉山くんは優しいから、断らなかっただけで。


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