すきの、チカラ
『あ、望月!!終わったんなら、モップ貸して』
はじめてまともに話したのは、部活後、体育館の掃除をしていたとき。
他の男子より低い声に、心臓がはねた。
モップを渡すときに、手が触れて、ものすごくドキドキして。
泣きそうなくらい、ドキドキが、強くて。
多分、もうとっくに、好きだったんだ。
・・・その瞬間より、もっと前から、好きになってた。
『す、すき』
・・・言うつもりなんて、少しもなかったのに。
体育倉庫。たまたま葉山くんと、2人きりになって。
気がついたら、告白、してしまっていた。
気持ちがこぼれてしまう、なんて、生まれてはじめての経験で。
心の中の好きが、もう、いっぱいいっぱいで。
自分の中に閉じこめておけないくらい、あふれていて。だから。
『葉山くんが、すきです。つきあってください』
わたしの顔は、きっと、ゆでだこみたいに、真っ赤だった。