すきの、チカラ
顔も、成績も、運動神経も、バスケの実力も。なにもかもが、どまんなか。
だから、みんなが納得しないのも、当然なんだ。
・・・こんな平凡なわたしが、大人気の葉山くんの、彼女だなんて。
『・・・うん、よろしく。望月』
1ヶ月前。
泣きそうな声で伝えてしまった告白の返事は、まさかの、OKだった。
葉山くんは、照れた顔で、『・・・ん』って、手を差し出してくれて。
握手しながら、わたしはもう、うれしくて、はずかしくて。
どうしようもなくしあわせで、泣き出してしまったんだ。
そのときのことを思い出したら、わたしは今でも泣きそうになるし、ベッドにころがっていても、ぜんぜん、眠れなくなる。
部活で、コーチに怒鳴られるのは平気。
こっぴどくダメ出しされても、泣いたりしない。
でも、葉山くんに関してだけは、わたしは、とても涙もろい。