すきの、チカラ
休憩がもうそろそろ終わる、というとき、晴香ちゃんが言った。
「遠野さんって、わかる?3組の女子」
「え?うん、わかるけど・・・」
どうしたんだろう。晴香ちゃんの表情が、心なしか、くもっている。
すこし間をあけたあと、晴香ちゃんが、言いにくそうに口を開いた。
「なんか、葉山くんのこと好きらしいよ。ほかの女子に、協力してって、言いふらしてるっぽい」
「・・・えっ」
「あの子気ぃ強いから、気をつけなね。なんかされたら、言いなよ!?」
水分補給したばかりなのに、のどがキュッとしまって、苦しくなった。
「わたしはイオの味方だからね!!」
晴香ちゃんがそう言って、硬そうな力こぶをつくってみせるから、顔では笑ったけど、心では笑えなかった。
ぜんぜん、笑えなかった。