約束〜ずっとずっと君だけを〜
莉香ははっきりとそういった。
莉香は昔、俺のことを“なっちゃん”って
ずっと呼んでたはず。
それなのに“小泉くん”って言うという
ことは…
(覚えて…ない?)
それしかなかった。
莉香は俺のことを覚えてない。
覚えてたとしても、気づいてない。
そうだとしたら、俺が莉香のことを莉香と呼んだらおかしいことになる。
「よろしく…橘さん。」
そう呼ぶしかなかった。
つらかった。
忘れられていることが。
莉香を莉香と呼べないことが。
でもやっぱり今日は神様の機嫌が
いいらしく、また幸運が舞い降りた。
莉香の前の席のさっきの女の子が、
名前で呼んで!と言ってきたのだ。
それに便乗して莉香も。