君にドキドキする瞬間
君にドキドキする瞬間



もう少しでお昼という時間帯。


明るい日が会社の廊下を照らす。


そんな今日。すぅっと深呼吸をしながら、今やっている企画書を持ってその廊下を歩いている時にまさかの人生の初体験がやってきたのだ。



「うわぁっ!!」



その叫び声が聞こえた瞬間、廊下の壁へと押さえ付けられた私の肩。


私の顔の真横にドンッという音と共に置かれる大きな手。


そして、とてつもなく近いおっさんとの顔の距離。



「へっ!」



驚きと共に思わずそんな声が漏れた。


そんな私の顔の間近で顔をくしゃっとさせて、へらっと笑うおっさん。


鼻につく加齢臭が堪らなく不愉快だ。



「すまんね。未来ちゃん」


「あっ……、はぁ……」



一応謝ってはくれるものの、なかなか退いてはくれない彼は、何を隠そう私の上司だ。



『原田課長

攻撃力 8
防御力 23
おじさん力 95
女子モテ力 2
はげ力 80』



最近は特にはげ力に磨きがかかっているから、そろそろ数値がはねあがるだろう。


< 1 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop