君にドキドキする瞬間
そんな反応されると、逆にもうこの話自体が恥ずかしくなってきたんだけど。
「2回とも一切しなかったけどね」
話を終わらそうとしてみたけど、大前君は未だに考え中らしい。
そして暫くして考えが纏まったのか、大前君の唇がゆっくりと動きだす。
「それはさ…、危ないっ!!」
突如として、グルッと反転した視界。
大前君の左手が私の右肩を壁に押し付けたと思ったら、顔の左側にはバンッと置かれた右手。
身動き一つ出来ない状態。
そんな中での私の顔に凄く近い大前君の顔。
一気に視界が暗くなったから、多分横道へ押し込まれたんだと思う。
心臓が悲鳴をあげているかの様に音を響かせる。
「な、何!?」
吃りながらもそう訊ねた瞬間、
ブワァッ!!
と凄い速さのバイクが道を駆け抜けていった。
「危ねぇ運転。大丈夫か、中村?」
大前君はバイクから私を守ってくれたわけだ。
ただそれだけなんだけど……。