君にドキドキする瞬間



「そ、それって……」


「中村が好きだからに決まってんだろうが」



耳元から顔を離し、私と目を合わせてくる大前君。



「本気?」



一応訊いてみるけど、大前君の目を見たら分かる。


本気で言ってるんだって。



スッと大前君の顔が間近に迫る。


お互いの鼻が触れあう程の至近距離。


そんな距離で、


「本気だから、今はおとなしく俺に食われとけよ」


こんな甘い台詞を吐く。



あー、もう。


ドキドキし過ぎて死んじゃうかも。



「仕方無いから、食われてあげるわ」


「すっげー上から」


「うっさいわよ」



そう減らず口を繰り出しながらも、そっと私が目を瞑れば、温もりがふわっと唇へと落ちてくる。



酔いも覚める胸のドキドキと唇の温もり。







きっとこの瞬間が、ストンッと恋に落ちた瞬間だ。






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