君にドキドキする瞬間
くるっと後ろを振り向けば、黒髪を無造作に遊ばせ、ピシッとベージュのスーツを着こなしたイケメン男が大口を開けて笑う姿が目に入る。
いや、声でこいつだって分かってたけどね。
分かってたけど……、
「大前君。酷くムカつくんですけど、その笑い」
「いや、だって中村。マジでウケる!課長に壁ドンされてメロメロって」
ギロッと私が睨み付けたのに、彼は何のダメージも受けてない。
『大前 晴彦(オオマエ ハルヒコ)
攻撃力 85
防御力 68
イケメン力 92
女子モテ力 96
寝癖力 22』
くっそー!高い数値ばっかり並べやがって!
大前君と私は同期入社なのだが、年齢は大前君の方が2つ上だ。
そして、私より仕事が出来る。ムカつく位。
だからか、私よりも大きな仕事を任されていたりする。
同期なのにっ!っていう嫉妬心もあるわけだけど。
まぁ、でも良い仕事はするんだよな……。
そんな事絶対言ってやらないけど。