許婚でたまるか!
「悪いけど違うから!寝言は寝て言えよな!!」


と、あたしは包帯巻きに集中する。



「おい!嘘ついてんじゃねぇよ。それ以外、思い当たらねぇぞ…?」


「まったく……。てめぇはおめでたい頭してんな?フン!」


「じゃあなんなんだ?有るなら言ってみろよ。」


「…………。」




言う………ほどの事じゃないけどな。



でも、大切なことだから。



怪我に鈍感なコイツに知っておいてもらいたいのもあるな……。



「なんだよ、黙りこくって。やっぱ、俺のことが好きになっ」


「爺ちゃんがさ、亡くなったんだよ。ちょっとした怪我でさ。」



あたしは冴木野郎のほざきを遮って話だした。



「は?爺さん………ってお前の祖父がか?」



冴木野郎があたしを真っ直ぐ見てくる。
< 103 / 264 >

この作品をシェア

pagetop