許婚でたまるか!
予想外の答えにあたしは瞬きを忘れてしまう!



「頼むよ。色々と、事情があるんだ。な?分かってくれ……。」


主将は切なげに、でも額は汗をかきながら目を細めてくる!



そんな主将をあたしの視線は通り越して、優子の方へ…。


優子は気まずそうに俯いて立ちすくんでいた。



「優子、後頼めるか…?俺、これから表彰式に出なくちゃいけないんだ。」


と、主将が優子にそっと耳打ちをする…!


優子はコクリと頷いだけど、視線は地面に向けられたままだった。



「じゃあ、俺行くな。………橘!」


「……え?……あ、は、はい!?な、なんでしょう?!」


「優子、……じゃなくて “相澤” の説明を聞いてやってくれ。頼む!」


「わ、わかり…まし…た……。」


そう返事をするしかなかった…。



そして主将は “じゃあ!” と爽やかな笑顔を残しつつ、すぐさま会場内へと消えていったのだった……。
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