許婚でたまるか!
21時過ぎーーー




部屋には月あかりが差し込んでいたけど、その光はあたしの心には届かない…。




だって……、



あたしは今日、一人の親友を失ってしまったから……。





数時間前に親友に言われた言葉……。


『二股、二股って言ってるけど、結局は先輩のことやっぱり好きなんでしょ!?』


『前から思ってたんだけど、美香のそういうお節介で善人ぶるところが大っ嫌い!!!』



『もう私に話しかけてこないで!!』






「………っ。」


枯れ果てたと思ったはずの涙は、その記憶が蘇るたびに頬を濡らしてゆく…。


泣いても泣いても心の傷は全く癒えることは無かった。



「…………優子……。なんで………っ!」


あたしは枕に顔を押し当ててひたすら泣いていた。




そんな時!





バァーーーン!!




「入るぞ、サル子ぉー。」




……………………、




………………、





……は!?



無遠慮に開け放たれたドアの音に驚いて、あたしは枕から顔を離す!
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